僕以外の皆の証言はこうだ。

飛鳥、加賀、端本、御厨、高槻の五人は、皆文芸部の部屋にいた。僕が帰ってきてから飛鳥がトイレに行ったが、すぐに戻って来た。だから、この五人には犯行は無理だ。

白銀と、その後輩で映画研究部の幕張杏菜(マクハリ・アンナ)、榮倉紫園(エイクラ・シオン)、曽我翠李(ソガ・ミドリ)は、作成した映画を公開する時間の最終確認として体育館に行っていた。蒼衣ちゃんは留守番だったのだ。

「…つまり、現時点で最も犯人の可能性が高いのは…。」

二宮さんが指を向けたのは…。

「残念ながら君だね、安堂君。」

僕だった。

「ここからは私の勝手な想像だけど…。

例えば、君は河合さんを殺す計画を立てていたとする。

計画が完成した時、河合さんに呼び出してもらうように言っておいて、屋上で殺害する。

それからすぐにこの場所に遺体を運んで来て、自分は何食わぬ顔で戻ってくる…。」
「ま、待って下さい、警部!」

驚きを隠せない表情で、鑑識の人が二宮さんに話す。

「ん?」
「それは無理です。被害者の死因…凍死でした。」
「凍死!?」