「久しぶり~!どうしたの?」
「あ、えっと…。」

蒼衣ちゃんは緊張しているようだった。

「その…安堂先輩、いませんか?」
「ん?僕に用事?」
「あ、安堂先輩、ちょっと…。」

蒼衣ちゃんが手招きをする。

「ん?」

僕は蒼衣ちゃんについて行った。…部活を抜けられてラッキーだなんて思うのは、不謹慎だったりするだろうか…。

着いたのは、屋上だった。

昼下がりの風が体に心地いい。ずっと作業をしていたからそう感じるだけかもしれないが。

「ここなら誰も見てないよね…。」

独り言のように蒼衣ちゃんがつぶやく。

「どうしたの?」
「あ、いえ、その…。」

風が蒼衣ちゃんのショートカットの髪を撫でて通る。

「ん?」
「えっと…びっくりしないで聞いて下さいね?」
「う、うん…。」
「ふぅ…。」

蒼衣ちゃんは一度深呼吸してから、言った。

「私…安堂先輩のこと、好きなんです…。」