「さっきの人…変わってましたね。」

家に戻ると、飛鳥が言った。

「まあ、あの人はこの辺では変人だって有名だからね…。」
「何となくそんな気がしました。」

僕は今の飛鳥の言葉にはっとした。

飛鳥には、人を見抜く力がある。

これはかなり飛躍した論理だとは思うが、飛鳥は恐らく、僕の悩んでいる心を見抜いていたのではないだろうか?

だから、あんな気遣いができて…。

いや、そんなことはないだろう。飛鳥は純粋に、優しいだけなんだ。その優しさが、僕への気遣いに変わって…。

「どうかしたんですか?」
「ん?…いや、ちょっと考え事。」

いや、どっちでもない。

僕がただ、飛鳥に気持ちを言ってしまっているだけなんだ。

…と、この時は僕はこう考えていた。でもそれが間違いだというのが証明されたのは、そう遠くない未来のことだった…。