「…え？」

何故だろう。僕自身ですら気付かなかった僕の気持ちを、飛鳥は簡単に見つけてしまった。

「違うんですか？」
「いや…そう、かもしれない。」

僕はあやふやな返事で返すしかなかった。

その時、後ろから声が聞こえてきた。

「あれ？安堂君？」

振り向くと、そこには僕のご近所さんで、ちょっと変わり者の研究者、丹隼明快(タミハヤ・アキヨシ)さんがいた。

「あ、丹隼さん。こんばんは。」
「こんばんはじゃないっての。最近顔見ないから心配したんだよ？」
「あ…すいません…。」
「…まぁ、状況は理解してるつもりだから。それより…。」

丹隼さんは飛鳥に目を向けると、続けた。

「この子、安堂君の彼女？」
「な、何言ってるんですか！違います！な、飛鳥？」
「そうですよ…。あ、初めまして。太陽さんと同じクラスの、近藤飛鳥です。」
「なるほどね…。安堂君の彼女は飛鳥ちゃんっていう子か…メモしとこ。」
「だから、違いますって！」