そんな感じで、一日が終わった。

校門を抜け、よく見た道を歩く。十一月の午後七時は、真夏とは違い真っ暗だ。家の明かりと街灯、そしてたまに見える車のライトだけが、僕達の行く先を照らしている。

「スゴいな、飛鳥。あの話を、たったあれだけの時間で…。」
「そう言ってもらえると、嬉しいです。」

笑顔で答える飛鳥。その姿に、僕はまたしても葉月を重ねてしまった。

思えばつい最近まで、僕の隣にいたのは葉月だった。それがある時、突然消えてしまった。なのに僕は、飛鳥には何事もなかったかのように振る舞っている。無理なんてしていない…つもりだ。

「どうかしたんですか?」

何か思い詰めているように見えた(実際、思い詰めているといえば思い詰めているのだが)のか、少し心配そうな表情で飛鳥が尋ねてくる。

「あ…ゴメン、何でもないよ。」

僕は取り繕おうとしたが、飛鳥には効かないようだった。

「悩みがあるなら…私でよければ、相談相手になりますよ。」