帰り道。

夕焼けが街をオレンジ色に染めて行く。学校帰りに見る夕焼けは、かなり久しぶりだった。

「キレイですね…。」

僕も飛鳥も、夕焼けに見とれてしまっていた。

「…放課後、暇になっちゃうな…。」
「ですね…。」
「これから、夕焼けを見る回数も増えるんだろうな…。」
「キレイだからいいじゃないですか。」
「それはそうだけど…でもさ、こう…。」

日常に穴が開いてしまったような、一日が長くなったような。どうにも例え方が見つからない。

「分かりますよ、太陽さんの気持ち。」

飛鳥が微笑む。どこか懐かしい気持ちになるのは、飛鳥と離れていた時間が長く感じられたからだろうか。

「ちょっと聞くけどさ。」
「何ですか?」
「最近…高端と、どんな感じ?」
「澄鈴ちゃんですか?あの子とは普通に、仲よくやってますよ。それがどうかしたんですか?」
「あ、いや、何でもないんだ。」

何でもないことなかった。

僕は後で、ノートにメモしておいた直角三角形に書きこむつもりだ。

この三角関係を、早くすっきりさせたい。そう思うのは、一体誰のためなんだろうか?

それは、神のみぞ知るものだ。僕が知っているんなら、こんなことで頭を抱えたりしない。