「ん?」
「いや、その…うん、気にしないで。」
「…何だよ、変なヤツだな…。」

高端と向かい合って食べる昼食は、どこか新鮮に感じられた。周りには、ちらほら「昼食は屋上派」がいたが、今僕が感じていることは、僕以外誰も感じていないのだろう。

「もうすぐ…だよね…。」
「ん?」
「卒業…。」
「…そう、だな…。」

高端の表情が曇り始める。

「私…平常心でいようって思ってたんだけどね…。」
「うん…。」
「やっぱり…無理っ…!」

高端の声が震え始める。下を向いて顔を隠そうとするが、そんなことをしても、泣いているのは分かる。

「皆と離れるのが…辛くて…。一緒にいられるのも最後だから、何か小さなことでもいいから、思い出を作っておこうって思って…。だから、今日は誘ったの。…迷惑だった?」

そうだ。もうすぐ、別れが訪れる。

それは、僕と飛鳥の関係においても同じことだ。

「…えっと…。」
「ん?」
「その…ちょっとの間だけでいいから、安堂…じゃなくて、太陽のこと…好きでいていい?」
「えっ…。」

これは…告白、か。葉月の時以来だ。

…それだけじゃない。これは…三角関係だ。ただし、不完全な三角関係だが。

今はまだ、三角関係の「可能性」が出てきただけだ。