「ピー…。」

心停止を知らせる無機質な音が、僕の耳に貼りつく。

「午後四時九分、ご臨終です。」

今、たった十八年というとても短い生涯を終えたのは、僕の彼女の河野葉月(コウノ・ハヅキ)。

僕は二日前、葉月から病気のことを聞いた。

「…だから私、もうすぐ死ぬの。今までありがとね。」

僕が素直に受け入れられたわけがない。しかし今、僕は受け入れるしかなかった。

「ううっ…。」

嗚咽が止まらない。

葉月は、僕を心配させたくなかったのか、病気のことを本当に死ぬ直前まで言わなかった。

今にして思えば、僕は葉月との残された時間をもっと充実したものに出来たはずだ。だが二日前の僕は、状況を受け入れられずにそのまま家に帰った。

次の日、葉月が倒れたのをクラスメイトから聞いた。

僕は病院へ無我夢中で走った。でも、葉月の容態はかなり悪化していた。

そして…今に至る。