___皆には夢ってある?


私はある。けど、そんなもの…叶うわけないんだ。




夢を諦めてしまった少女、長野桜×夢を追い求める青年、吉野裕樹。












子供の声が聞こえる。


楽しげなその声は、私の心に鈍く突き刺さる。


病室で、そんな世界をぼぅっと見やった。


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私が通っている「私立青柳高校」。



そこはごくごく普通の学校で、特に…文化部が強い。



その中でも一番なのは_吹奏楽部。



コンクールなどでも毎年賞を得ている、強豪校だ。





なので、教師や生徒達も吹奏楽部を一目置いているところがある。



そんな中、私はひたすらに廊下を走っていた。



(…やっば、急がないと…!!!!)




私の名前は「長野 桜」。いつも一つ結びで音楽が好き。美術とかもできる方。



私は今年、ここに入学してきた。入学__というか、とある事情で転向してきたんだけど。
ガラっと、部室のドアを開ける。もちろんそこには誰もいない。



私も吹奏楽部で、トロンボーンを吹いているのだが…私は去年まで体が弱く入院していた。



なので人との接し方に戸惑うばかりだった。そんな中で、吹奏楽部の先生が「慣れるまでは一人で練習したら?」と気を遣ってくれた。



一人で…寂しくないといったら嘘になるが…まあ、仕方ないと思う。



その奥の部屋で他の吹奏楽部のメンバーはパートごとにわかれて練習しているらしい。



「…とりあえず、休憩してから吹こうかな」

そう独り言を呟いて、椅子にもたれかかった。

と、廊下を走る音が聞こえてきた。


(…………ん??誰だろー…?)

その方向を見やると、いきなりドアがあいた。

驚くより先に「…あっ!!!!いたーー!!!」と大きな声で言う、男子生徒の姿があった。

その男子生徒は馴染みのある顔だ。

(………あー…確か…隣のクラスの………吉田裕樹君だっけ…?あ、吉田君吹奏楽部だったな…)

吉田裕樹。170はある背丈で、性格はとても良く皆のムードメーカーだ。

その横から顔を出す少女も見たことがある。

小林葉月。この子は栗毛の髪で少し癖っ毛だ。八重歯が覗く顔は可愛らしい。



「…ねえねえ、貴方新しい吹部の子だよね!?」
と小林さんが嬉しそうに問いかけてきた。


吹奏楽部の子達は私の顔は当然知らないし、私がどこの部屋にいるかも知らない。


私がいる部屋は、誰にも見つからないような個室だが、日当たりが良く明るい場所だ。






「…あ、はい…そうです」と問いかけられた質問にそう述べておく。


「私、小林葉月!!!こっちのバカが吉田裕樹!!!」



「…ちょ、おい葉月!!バカってなんだよ!?……と、お前の名前は?後、どのパート所属?」

と笑顔で質問してきた。

私は慌てて、「長野桜………トロンボーンパートですっ…」と言った。



「おー、長野か!!!!宜しくな…って、お前トロンボーンなのか!?俺と一緒!!」



「…え!?!?」私はとても驚いて大きな声を出してしまった。


すると、むすっとした顔で小林さんが「…私の存在忘れてないー??私はフルートだよ♪」

と笑顔で述べてくれた。

「よ、宜しくお願いします……」と不安そうに言うと、小林さんが「…タメでいいよ!!それと、基本的吹奏楽部はみーーーんな下の名前で呼び合ってるから、下の名前で呼んでいいよ!ね、裕樹!」

「おう!!だな!!皆優しい奴らばっかだから、早くこっちの部室こいよ!!桜!!」

と吉田君たちがいってきた。


__いきなり呼び捨てとか…いいのかな…


そんなことを思いつつ__裕樹と葉月の後をおった。








___その時は、その場の出来事に浮かれていた。






___私が、友達を作る資格なんてないのに。