どれほど時間が経っているのか 動かないという作業は たまに全てを忘れさせる 「お疲れ様でした」 ……… 「ミキさん、もういいですよ。お疲れ様でした」 「あ、はい」 忘れすぎて声をかけられるのに気付かない時もある 帰り支度をしようと椅子から立ち上がった チラッと絵を覗き見る 「気になりますか?」 「…はい」 「どうして?」 どうしてって… 「え…他人から見た自分が気になりました」 「へえ」と言って彼は自分の書いた絵と私を見比べる そしてニヤっと笑って 「同じ顔」と言った