「琴羽…さ…」

「……」


ごくり、と唾を呑み込む。

やけに口の中が渇く。


「私に隠し事してたよね」

「え??」

「小宮くんのこと…」

「蓮??」


なんで蓮が出てくるの、と蓮に視線を移すが距離があるのでこちらの会話は聞こえていないらしい。

俯いて、うたた寝していた。


(このピンチにあいつはぁ〜〜…!!)


殴りたい気持ちを抑える。

「付き合ってるの…??」

「まさか…!!」


慌てて首を振る。


「たまたま一緒になることが多いだけ!!」

「でも未花見ちゃった…」

「??」


今度はなんだ、と覚悟を決める。


「この前売店で会った後、小宮くんと琴羽が仲良さそうに笑ってるところ」

「……」


笑ってるところ…??


いやいやいやいや…!!

未花はきっと蓮の本性知らないんだ。


「あのね、未花…」

「未花は言って欲しかったの!!」


琴羽を遮って、未花は叫んだ。


「琴羽と一番仲が良いのは未花だもん。だから、言って欲しかった。最近、未花の話しも聞いてくれないし、隠し事するし…。琴羽は未花のことどうでもいいんだね」

「な、なに言ってんの!? そんなわけ…」

「無理しなくていいよ。クラスも違うし、話し合わないんだよね」


未花は琴羽に背を向けた。


「琴羽にとって未花はお荷物だった?? それとも、未花が小宮くんのこと取ると思った??」

「……」


次々と明かされる未花の想いに、衝撃を受け何も言えなくなった琴羽。

未花はそれを肯定と取った。


「そっか。ごめんね、琴羽」


そのまま扉に向かって歩き出す。


「もう未花、迷惑かけないから。ばいばいっ」


一瞬だけこちらを向いて笑った。

そして静かに屋上を後にしたのだった。









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