「美穂さん、昨日は痴漢を捕まえる為にホームにいたんですか?」 亜優美が覗き込みながら尋ねる。 「いいえ、痴漢が私にぶつかったのは本当に偶然だったのよ。」 中川の会社のロビー。 美穂、中川、合田、優斗、そして亜優美がテーブルを囲んで出されたコーヒーを口にしていた。 「あの男はね、清水って名前で45歳、無職。」 「高校受験を控える娘がいるって言ってましたが?」 中川が尋ねる。