「はい、娘は今年高校受験でして…。
もちろん娘は私がこんな事しているなんて知りません。
私も本当に些細な出来心からなんです。
毎日の仕事の忙しさから逃げたくて、ちょっと間が差して…。
それがどうしても抑えられなくなって…。
いや、駄目な事は重々分かっています。
ただ、父親が痴漢で捕まる事で娘が合格出来なかったら…。」
「は?何言っているの?」
睨みながら亜優美は冷たく言い放つ。
「世の中、誰だってストレスや忙しさと戦ってるじゃん。それをよりによって痴漢で紛らわそうなんて、絶対許せない!」
同時に痴漢の右足を思い切り蹴り飛ばした。
「亜優美さん、気持ちは分かるが蹴ったら駄目。」
中川に諭されて、仕方なく一歩下がる。

