「参りました。もう抵抗しませんので…。」
苦しそうにボソボソと言いながらその場に座り込んだ。
合田も逃げられないようにと羽交い絞めにしたまま、座り込む。
痴漢は座り込んだまま、ぶるぶると小刻みに震えながら涙目で亜優美達を見上げた。
「すみません、すみません。許して下さい。」
「許すわけないでしょ!」
亜優美は苛立ちを隠せない。
「本当にもうしません。もうしませんから…。」
「女装してまで痴漢するのに、もうしないって信じられないなぁ。」
優斗が率直に感想を述べる。
「私には家族がいるんです。今捕まると家族が…。」
「家族がいるのですか?」
中川は冷静に尋ねる。

