混雑する森本1丁目駅のホーム。
通勤客は何が起こっているのかと注目しながら改札口へ流れている。
一番端まで逃げると、その痴漢は観念したのか走る速度を減速し始めた。
その後を優斗が追いかける。
その距離は一気に縮まり、ついに優斗は痴漢の右腕を掴む事が出来た。
しかし、必死に振り解こうと右手を大きくぐるぐると回す。
「あ!」
その反動で痴漢が被っていたセミロングのウィックが外れてふわりと宙を浮いた。
ウィックが外れた姿は、完全に女装した頭頂部が少し寂しい中年男性だった。
「優斗君、後は任せて。」
優斗に追いついた合田が痴漢の後ろに回り羽交い絞めにする。

