「珍しいな。庶務のお前の所にお客さんとは。しかも高校生。」
興味津々といった顔で亜優美と優斗の顔を見比べる。
「すみません、お邪魔してます。」
優斗が立ち上がり、頭を下げようとすると、大柄の男はまあいいから、と言って座るように促す。
「こんにちは。俺は中川と同期の合田。まぁ、何もない会社だけどゆっくりしていって。」
恐らく、人懐っこい性格なのだろう。
合田と名乗る人物はニコニコと愛想良い顔を向けてくる。
「どうした中川。えらく悩んでいる様子で。」
いつの間にか合田は空いている椅子に座って輪の中に入っている。
「お嬢さん、何かあったの?」
何も答えない中川に代わって亜優美に尋ねて来た。
「実は…。」
合田に昨日からの痴漢の事を全て話した。

