「まぁ、せっかく来てくれたのだから、どうぞ座って。」
3人が座ると同時に、女性社員がアイスコーヒーをそれぞれの前に丁寧に置いた。
「どうぞ。飲んで行って。」
「すみません、何だか逆にお仕事の邪魔をしに来たみたいで…。」
「大丈夫だよ。」
「亜優美。こんなに優しい人が痴漢なんてする訳ないだろ。」
「反省してます…。」
優斗に言われて素直に俯く亜優美を見て中川は思わずクスッと微笑んだ。
「何かおかしいですか?」
「いや、ごめん。朝はあれだけ怒ったりしていた亜優美さんも、彼氏の前では素直なんだな。と思って。」
「私はいつも素直ですっ!」
「すみません、いつもこんな感じなんです。」
頬を含ませて抗議する姿に優斗も呆れ果てる。
「それよりも亜優美。あの事ちゃんと伝えろよ。」
「そうだったね。」
「あの事?」
2人のやり取りを不思議そうな顔で眺める中川に対して、亜優美は、実は…。と真剣な表情で話し始めた。

