「すみません、部署は分からないのですが、中川直樹さんいらっしゃいますでしょうか…?」
「お約束はしておりますでしょうか?」
「いえ…。」
「少々お待ち下さいませ。」
手元の社員名簿に目を通す。
「中川直樹は庶務課に1人おりますが、その者でよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします。」
(大丈夫なのか?)
優斗は何のためらいもなく元気に返事する亜優美がたまに恐ろしく感じる。
「そちらにおかけになってお待ち下さいませ。」
ロビーに設置されてある椅子に座り、暫く待っていると、奥のエレベーターが開き中川が驚いた様子で近づいてきた。

