「ねぇ、亜優美さん。ところで今日も痴漢に遭ったの?」
「えっ?」
中川からの質問に我に返ると、亜優美の心に再び怒りが溢れてきた。
「そうなんですよ!昨日といい、今日といい、2日連続ですよ!桜町駅からずっとお尻触られて。昨日中川さんだと勘違いしてしまったけれど、今日も触られて、手首を掴んだのに、降りる客に紛れて逃げられて…。」
「その時に私と当たったのね。」
亜優美と中川が同時に目を向ける。
「あぁ、私の名前は浜田美穂です。私もこの駅で降りて職場に向かう途中だったの。」
「あの痴漢め!私に痴漢した上に、妊婦の美穂さんにまで怪我させて…。お腹の赤ちゃんに何かあったらどうするんだ!」
「亜優美さんって、面白いわね。」
フフフと美穂が微笑む。

