「なーなー、久しぶりに放課後ゲーセン行こうぜー」


「お前は鬼畜か?
俺、昨日参考書二冊買ったんだぞ?
遊ぶ金なんて残ってないよ」


「えー!?
仕方ねー、誘ったのは俺なんだし、二千円分くらい奢ってやるよ!」


「へー、金銭にはうるさい仁が珍しー」


「うるせー!
じゃ、決定な!」


「はいはい」


こんな何でもないようなやり取りをしてるけど、本当はわかってる。


仁が最近勉強ばっかしてる俺に息抜きさせようとしてくれてることくらい。


仁は優しい奴だから、時々俺を勉強から解放してくれる時がある。


それに勉強に関しては仁もわかってくれてるから、あまり口出しをしないで見守ってくれてる。


口には出さないけど、そういうとこ俺は仁を尊敬してる。


言ったら調子に乗るから絶対言わないけど。


「ありがと」


「ん?
なんか言ったか?」


「別に何も?」


小さい声でつぶやいたから、仁には聞こえなかったみたいだ。


聞こえなかったんなら、聞こえなかったでいい。


俺は笑いながらシラを切った。