次の日。


「おっすー、夏芽!」


ドンっと後ろから体当たりしてあいさつしてきたのは言うまでもない、仁だった。


「ゴホッ。
あー、おはよ」


いつも朝から元気だな。


まぁ、それはいいんだけど、もう少し加減をして欲しい。


いきなりとかホント心臓に悪いから。


「何だー?
また登校中に参考書読んでんのかよ?」


「うん。
昨日買ったやつ全部見れてないから」


「はー、たまには勉強から離れて休めよ。
反対にバカになんぞ?」


「でも勉強以外することないし・・・」


「お前の頭は勉強しかないのか!?
漫画とか読めよ」


「そんなん持ってないよ」


「マジかよ・・・。
ホントお前って勉強好きなんだな」


「別に好きじゃないし」


少しムッとしながらも隣を歩く仁と校舎の中に入る。


別に俺は勉強が好きなんじゃない。


俺には叶えたい夢が・・・。


「・・・め。
おい、夏芽!」


「えっ?」


「何ボーとしてんだよ。
階段から落ちるぞ?」


「え?
あ、あぁ、ごめん」


いつの間に階段登ってたんだろう・・・。


考え事してて覚えてない。


危ないなと思い、参考書をカバンの中にしまう。


「やっぱ勉強のしすぎじゃね?
頑張るのはいいけどさ、身体とか壊すなよ?」


「心配しなくても大丈夫だよ。
ちゃんと八時間は寝てるから」


俺より仁の方が心配だ。


絶対夜中まで起きてゲームしてるか、漫画読んでるだろ。


「すっげ!
俺なんか今日3時間しか寝てないぞ!?」


「早く寝ろよ」


「いやー、ゲームした後寝ようと思っても、ついつい漫画読んじまって結局夜中まで起きてるんだよなー」


やっぱり。


「仁の方が身体壊すぞ。
今日は早く寝ろよ?」


「はいはい、ちゃんと夏芽母さんの言うこと聞きますよー」


「絶対だからな?」


「わかってるってー。
てか夏芽母さんのところは突っ込まないのね・・・」


昔から仁に言われ続けられたことだ。


もう慣れてるし。


「今更突っ込んでも仕方ないだろ」


「ま、それもそうね」


ニシシと歯を見せて笑う仁に、小さくため息を吐きながらも俺の頬は緩んでいた。