夏と冬



新学期初日も無事に終わって放課後。


「夏芽ー!」


「何だよ、じ・・・ん?」


毎度のように放課後になると俺の名前を笑顔で呼んでやって来る仁。


でも今日は何だか今にも泣き出しそうな顔だ。


「聞いてくれよー!」


「何」


「今から補習するって言われた!」


「え、何で」


「今度あるテストに向けてって。
酷くない!?」


「え、何それ。
面白そう」


「全然面白くない!
あー、もう夏芽とゲーセンして帰ろうと思ってたのにー!」


「ゲーセン好きだね、仁は。
で、それ俺も受けていいの?」


「いや、何か去年あった今度のテストの点が悪かった人だけだってよ」


「なんだ、つまんないの」


「おいおい、変わって欲しいくらいなんですけど!」


「残念だったね。
じゃ、仁、しっかり勉強するんだよ」


「え、帰んのか!?」


「帰るよ。
仁を待ってたら夜になる」


「酷い!
そこまで遅くなんないのに・・・」


「そんな寝言は寝て言ってください。
じゃあね」


「あー、夏芽ー!」


仁が呼び止める声を無視して鞄を持って教室から出た。


前何度かは待ったことはあったけど、やっぱりいつも遅かった。


そんな遅くまで待ってなんていられない。


俺にも用事っていうものがあるんだ。


・・・まぁ、そんな大した用事なんてないけど。