そして新学期。
「おっす、夏芽ー!」
「あぁ、おはよう」
朝から元気に肩を組んでくる仁に嫌がりながらも挨拶を交わす。
「夏休みもあっという間だったなー」
「そうだね。
仁の宿題を見てるとあっという間に夏休みが終わったよ」
「うっ。
面目ない・・・」
しょげる仁を見てクスクスと笑う。
俺の夏休みはほとんど仁の勉強会で終わった。
ま、毎年の事だし、俺も勉強ができて別にいいんだけど。
「そういえば海の日からトーカちゃんたちに会ってないよな」
「そうだね」
そういえばそうだ。
連絡先も知らないし、プールの日みたいにばったり会うこともなかった。
今日会えば久しぶりになるのか。
「あっ、如月さん・・・?」
「え?」
後ろを振り返ると、さっき話してた当人が立っていた。
「あーっ、トーカちゃん!
久しぶりだねー」
「お久しぶりです」
ぺこりと頭を下げる西山さんの後ろには柴咲さんの姿もあった。
「あ、莉菜ちゃんもいたんだね」
「いたら悪いですか?」
「いやいや、気づかなくてごめんね」
「・・・どうせ私は低いですよ」
フンっとそっぽを向く柴咲さんに苦笑いしながら謝る仁。
どっちが先輩なのかわからないな。
「如月さんも、お久しぶりです」
「うん、久しぶり」
だいぶ会ってないからか、懐かしく感じる。
「あれ、コンタクトにしたんだ?」
「あ、はい。
そうなんです」
メガネをしてない彼女の瞳がよく見えた。
キレイなブラウン・・・。
「こっちの西山さんも可愛いね」
「かわっ・・・!?」
「ん?」
本当のことを言っただけなのになぜかオロオロと焦ってる。
それになんだか顔も赤いような・・・。
「はー、夏芽は罪な男だな」
「先輩、やるならもっとぐいぐいいっちゃってください」
「え、何の話?」
さっきまでケンカ?してたはずの二人が一瞬にして俺の傍まで来ている。
仁なんて気持ち悪いくらいニヤついてるし。
「あーぁ、まだ来ないだろうと思ってた春がとうとう夏芽にも来たかー」
「は?
何言ってんの。
今から秋に入るっていうのに」
「・・・・はぁ」
深いため息をつかれた!
「トーカちゃん、こういう奴だからさ、骨折れるかも」
「え!?
だ、大丈夫です。
何とかします!」
「うん、がんばって」
「私もなんなら協力するから」
「うん、ありがとう」
三人で手を取り合って何か結託したみたい。
何の話をしてるのかわからないけど。