夏と冬



あぁ、そうだ。


「仁」


「何?」


「ありがとう、助けてくれて」


「・・・なんだよ、今更。
溺れた親友を助けるのは当たり前だろ?」


「そう簡単に答えれる仁はすごいって思う」


「別にすごくなんかねぇよ。
あの時、夏芽が本当に死んだんじゃないかってすげーヒヤヒヤした。
胸の奥がギュッと掴まれるみたいに痛くて苦しかった。
もう、あんな思い二度としたくねぇ・・・」


「仁・・・。
ごめん。
すごく心配かけたんだね」


「そうだぞ。
トーカちゃんなんかボロボロ泣いてたからな」


「西山さんが?」


「おぉ」


そりゃあ人が死にそうになってたら怖くて泣くよね。


西山さんにも、他のみんなにもたくさん迷惑かけちゃったな・・・。


解散する時ちゃんとみんなに謝っとこう。


それと、明日は健さんの所にお墓参りに行かないと。


忘れててごめんって。


ありがとうって。


健さんに助けてもらったこの命を大切にして生きて行くって、伝えよう。


「夏芽、俺ちょっと寝るわ」


「うん、着いたら起こすよ」


「サンキュー」


そう言って窓に頭を預けると、仁はすぐに寝息を立てた。


相当疲れていたのだろう。


仁、今日は本当にありがとう。


反対の窓から外の景色を眺める。


もうすぐで夕日が落ちる。