「夏芽ー、ご飯できたよー」
「はーい」
パタンと参考書を閉じて椅子から降り、1階へ向かう。
リビングの食卓テーブルに着くと、すでにテーブルの上には美味しそうな料理がずらりと並んでいた。
「いただきます」
手を合わせてから、おかずに箸をのばしていく。
「夏芽、どう?
勉強の方は」
「うん、まぁまぁ」
入れてもらったご飯を受け取りながら答える。
今日は父さんが遅いし、兄さんは夜中に帰ってくるから母さんと二人の晩ご飯だ。
「まぁまぁね。
ま、無理はしないように」
「わかってるって」
「でもまさか夏芽がN大に行くなんてねー。
父さんも母さんも想像してなかったから、聞いた時はホントびっくりしたわよー」
母さんもおかずを取りながら話しかけてくる。
母さんが言ってるN大というのは、俺が行こうとしてる名門大学。
とりあえず勉強ができないと入学もできないし、卒業もできないようなエリート大学みたいなところだ。
「でも無理してN大に行く必要ないんじゃないの?」
「無理なんてしてないよ。
やりたいことがあるんだ。
それはどうしてもN大じゃないとできないから」
「そう・・・。
ま、夏芽が自分で決めてることだから、母さんたちはただ応援してるわ」
「うん、ありがと」
大体は俺の意見に尊重してくれて、自由にさせてくれる親にはありがたいと思ってる。
だからこそ、N大に絶対受からないといけない。
俺自身の為にも。



