夏と冬



「な、何で西山さんがここに・・・!?」


「私、今日友達と遊びに来てるんです。
如月さんもですよね?」


「えっ!?
あ、うん・・・まぁ」


「やっぱり!
こんなとこで会えるなんて偶然ですね!」


「そ、そうだね」


・・・どうしよう。


滅多に出てこないはずの偶然が起こってしまった!


え、泳ぎの練習って言ったら引かれるかな?


いや、確実に引かれてもおかしくない。


男子で泳げない人なんて中々いないし、ましてプールに練習しに来てるんだ。


ダサいとか思われるんじゃ?


「如月さん・・・?」


「おーい、夏芽!」


「うわっ!?
えっ!?」


悶々としてる中で、仁の呼びかけにビックリする。


「この子誰?
夏芽にこんな可愛い知り合いいたっけ?」


西山さんの方を指さして聞いてくる仁に、俺は我に返った。


そういえば仁には話してなかったっけ。


それと・・・。


「だから!
人を指で差すなって!」


指を差してる仁の手を下げさせる。


「この人は、西山冬花さん。
俺たちの1つ下の後輩」


「へー、こんな可愛い子いたんだー。
俺、本条仁って言うんだ!
よろしくな!」


「よ、よろしくお願いします」


「てか、この子と夏芽が知り合いっていうのも意外だなー。
1個下なら尚更」


意外そうな目をしながらニヤニヤして俺を見る。


「別に不思議じゃないだろ、後輩と話すくらい。
それに、仁も1回会ってるぞ」


「俺が言ってるのは女の子とって意味で・・・。
って、え?
そうなの?」


「あぁ、だよね?」


顔を上げて西山さんを見る。


「はい。
でも先輩が覚えてるかどうかわからないですけど・・・」


「ほら、この前仁が俺を押して、俺に当たって転んだ子」


「あー、確かにそんな子いたなー。
え、それがこの子?」


「そう」


「えぇ!?
何か全然違うくない!?」


「あ、メガネかけてないからかもです」


「はー、なるほどね」


納得したかのようにジロジロと西山さんを見る仁。


「あ、あの・・・」


そんな彼女は少しだけ、顔を赤らめていた。


何だか面白くない光景だ。


彼女の目から仁を放したくて、俺は声をかける。


「そういえば友達待たせてるんじゃないの?」


「あっ、大丈夫です。
私ここで泳ごうと思って来たんで、友達には了解得てます」


ニコッと笑う彼女に、「そう」と言って目をそらす。


あれ、何で目そらしちゃったんだろう?