夏と冬



「いやー、やっぱ多いなー、人」


「そりゃあ夏だからね」


プールに着いて着替え終わって出てみると、小学生や親子連れで賑わっていた。


「ま、ちびっ子も親子連れも、深い方には入れないからこっちはスカスカだけど」


「そうだね」


俺たちが使おうと思っていた底が少し深い方には、ほとんど誰もいなかった。


「ラッキーラッキー!
よっしゃ、早速練習するぞ!」


「はいはい・・・」


渋々といった感じで返事をして水の中に入る。


自分からプールに行くこともないから、久しぶりで何だか懐かしくて、気持ちいい。


「そうだなー。
一番泳ぎやすいので言ったらやっぱクロールか?
でもあれ息継が難しいからなー。
特に夏芽の場合わ。
この年になってビート版使うのも嫌だろうし・・・」


仁の言葉にコクコクと首を縦に振る。


泳げないならビート版を使うのが一番いいが、この年で使うのは抵抗がある。


「って言って、いきなり何もなしでうまくなるとも考えにくい。
やっぱりここは俺が手を引いていくしかないのか・・・」


「なんかそれはそれで嫌だな」


「おい、文句言うな。
ビート版使わせるぞ、コラ」


「ぐっ」


確かに、泳げない以上文句は言えない。


「まぁ、俺より他にいい奴がいればそいつでもいいけど・・・」


「ハハハ、そんな人偶然でも滅多に出てこないよ」


仁の言葉に、笑い飛ばしていたら、


「あれ、如月さん?」


「え?」


後ろを向くと、彼女がそこに立っていた。