夏と冬



それから次のプールの授業でも、前言った通りみっちり泳ぐ練習に励んだ。


残り15分以外は。


帰り道、仁と隣に並んで歩く。


「いい感じじゃん!
これなら今年は一緒に海いけそうだな!」


「行ってもいいけど、足が届かないとこまではいかないからね・・・」


「わかってるって。
さすがに俺でも海で溺れられたら助けれるかわかんねぇし」


「まぁね」


溺れた人間を助けるのは一苦労だからね。


漫画やアニメじゃ簡単そうに助けてるけど、実際はそんな甘くない。


ま、テレビで見た情報だけど。


「で、明日土曜日で休みなわけだよ、夏芽くん」


「そうですね」


「明日お暇かな?」


「そうだなー・・・」


こういうしゃべり方をする時の仁は絶対何かを企んでる時だ。


それか、仁の得意分野になった時。


「暇だけど、何かあるの?」


「よくぞ聞いてくれた!
明日暇なら、プール行くぞ!」


「えぇ!?」


まさか明日も!?


「泳ぐ練習するぞ!」


やっぱりね!


「何で授業以外でも練習しなきゃいけないのさ・・・」


「そりゃあ、早く上達するためさ!
上手くなるには、何事も努力が大事だ!」


「ソーデスネ」


その努力を仁ももう少し勉強に向けてくれたら助かるんだけど。


「じゃ、決まりな!
明日1時に迎え行くから!」


「はいはい、待ってるよ」


先に仁の家に着いて、別れる。


明日も練習かー。


「はぁ」


小さいため息が自然と口から洩れた。


でもせっかく仁が時間を潰して俺の練習に付き合ってくれてるんだし、ため息をつくのは失礼だよね。


・・・けど俺は別に泳げなくてもいいって思ってたし、仁が俺と海に行きたいだけな訳だし・・・。


あれ、ため息ついてもいいのかな?


まんまと仁の思惑に乗せられていることに気付くのは、まだ先だった。