夏と冬



でも、いざ泳ぐとなるとやっぱり怖い。


本当に大丈夫だろうか?


溺れたりしないだろうか?


とか、そんなことばかり。


まぁ、溺れそうになったら足がつくんだし、そんな心配はいらないのだけれど・・・。


「夏芽、あれからどれだけ泳げるようになった?」


「どれだけって・・・。
まったく泳ぎの練習してないんだから、全然だよ。
全然」


「全然って・・・。
ちょっとは練習しろよー」


「別に一生カナヅチでも困らないかなって」


「俺が困んの。
まぁ、まずは体を浮かすことからだな」


泳ぐためにはまずは体が浮かないと話にならないと言われ、俺は高2になってまでも泳ぎの練習を左端っこで始めていた。


「体の力抜けって!」


「抜けって言われてもどうやって・・・」


「布団に横になった時みたいな感じだよ!」


「はぁ?
わかりずら・・・」


いいからやれ!と言われて渋々従う。


布団に横になった感じ・・・。


寝る時とは向き反対だから、うつぶせになった時みたいな感じかな・・・?


力を抜くということがどういうことかよくわからなかったけど、できる限り無心になってみた。


「おっ!
夏芽、いい感じだ!
そのままそのまま!」


耳が水につかってるから、仁の声が遠くに聞こえる。


「おぉ!
浮いてる!
夏芽、浮いてるぞ!」


息も切れかけて立ち止まり、水面に顔を出すと超笑顔の仁の顔が見えた。