夏と冬



振り返って仁がニッと笑う。


「俺はさ、保育園の頃から今までずっと夏芽と一緒だったけど、お前と海に行ったこと一度もないだろ?
誘っても絶対断るし・・・。
で、カナヅチだって知った時は『練習すればいいだけじゃん。泳げるようにしてやろう!』
それだけを思ってたんだ。
けど・・・」


「けど?」


仁の顔が下がる。


「お前カナヅチだけじゃないんだろ?
泳げない理由」


「え・・・」


「昔は泳げてたんだってな。
でも、あの日から泳げなくなったって・・・」


「・・・誰かに聞いたのか?」


「ついこの前、お前の親父さんにな」


「・・・はぁ。
で、それでも仁は俺を泳がしたいわけ?」


「あぁ。
そのトラウマ、克服させてみせる」


顔を上げた仁は、ジッと俺の目を見てそらさない。


なるほど、さっき言ってた克服させるってカナヅチをじゃなくて、トラウマの方だったのかも。


でも。


「ムリだよ。
そんなの・・・」


「ムリじゃない。
お前が克服しようと思えばできるんだよ!」


「・・・・」