夏と冬



休憩時間になって1人で保健室に向かう。


「先生ー、ばんそうこーくださーい」


ガラッと扉を開けて中に入る。


するとそこにはちょうど先生が女子生徒の足に包帯を巻いているところだった。


「あら、如月くん。
保健室に来るなんて珍しいね」


「そうですね」


「えっと、ばんそうこーだっけ?
ちょっと待っててねー」


巻き終わったのか、先生はいそいそとばんそうこーを取りに行っている。


「そんな慌てなくもいいですから」


苦笑いしてみつつ、ちらりと包帯を巻かれていた子を見てみる。


あれ・・・。


メガネに黒髪ロング。


「・・・もしかして、朝の子?」


「え?」


椅子に座っていた彼女に話しかけると、彼女は顔を上げた。


そしてすぐわかったのか、笑顔になり「あっ!」と声を上げた。


「足、ケガしたの?」


「あ、はい。
体育でコケて捻挫を少々・・・」


「そっか・・・」


もしかして朝のが原因かと思ったけど、違うみたいだ。


良かった。


いや、ケガしてるんだし、良かったはダメか。


「あの・・・」


「ん?」


「はい、如月くんばんそうこー」


「あっ、ありがとうございます」


ばんそうこーを先生から受け取って切った指に巻く。


「指、何かで切ったんですか?」


「うん。
家庭科だったから、包丁でちょっとね」


「そうなんですか・・・。
それであの、少しいいですか?」


「何?」


「あの時のこと覚えてますか?」


「あの時のこと?」


朝の時のことだろうか?


「朝の時?」


「えっ!
ち、ちがっ・・・!」


話している途中で、チャイムが鳴ってしまった。


「あっ、次の授業始まるね。
朝の時はホントにごめんね!
じゃあ!」


急いで保健室から出ようと扉を開けた時、彼女の声が聞こえた。


「私!
西山冬花って言います!
覚えといてください!」


彼女の声に振り向いた俺は


「俺、如月夏芽!
また会えるといいね、西山さん」


笑って、保健室を後にした。


西山冬花さん、か。


覚えとこう。


何年生か聞いてないけど・・・。


敬語を使われるって事は後輩かな?


近い内、また会えるだろう。


そんな気がした。