母の最後の言葉が今でも耳に残ってる。


『自分が1番好きなことができる場所を見つけられるように』


そう言って私に渡したピアス。


今でも身につけていることは誰かが知ることはない。


初心を忘れることほど怖いことはない、と誰かが言ったものだ。


私の初心は・・・なんだろう。


始めたばかりの頃、私はどう思ってた?


ただ純粋に楽しんでた?


わからない……わからない。


私の心は今どこにあって、どこに向かってる?






「初めまして。千と申します。どうぞお千と呼んでください」


こちらこそよろしくね、と軽く頭を下げる。


新しい女中、と言われた子はとても可愛らしくて、どうして新撰組なんかに来て働くのか理解できなかった。


家事全般できるようだし、私が教えるまでもないだろう。