文机。座布団。
この2つしか私の部屋には置いていない。
壁紙も、襖も、障子も、男の部屋のようなもの。
もう少し飾ったり、自分を着飾ってもいいんだろうけど、そんな暇ないし。
着物だって、平助と一緒に行って買ってもらったものだし。
本当は、櫛とか、簪だとか、女の子みたいな小物だって欲しい。
境遇がどうであれ、どんな生活環境であったとしても、私が女の子であることには変わりないから。
オシャレだってしたいと思うのが、女子ってもの。
それでもこの時代でオシャレなんて、おかしな話かもしれないけど。
私は壁に寄りかかるようにして座った。
この時代に来る前のことを、思い出した。
毎日学校が終われば仕事で、休みなんてものはなくて。
学校ではいじめられて。
部活だってまともにできなくて。
私は剣道部だった。
一時期仕事が落ち着いていたから、部活をしてみたくて、剣道部に入った。



