「はい。向日葵と申します。」
私は再度頭を下げた。
「そうか。心して雑務に励め。」
芹沢は立ち去っていった。
*
芹沢がいなくなってからしばらくして、部屋に戻る途中、土方に「後で副長室に来い」と言われ、副長室へ向かった。
副長室の前に着くと、そこは少しだけ空気が違っていた。
「向日です。」
「……ああ、入っていいぞ。」
襖を開け、部屋に入った。
土方は文机に顔を向けていた。
「それで、何か用事でもありましたか。」
「いや、用事ってほどのことでもねぇんだが……」
土方は「はぁ……」と一度ため息をついて、私の方を向いた。
「お前……芹沢さんと何かあったか?」
「……何故?」
何故知ってる、と言いたいところだが、私はやめておくことにした。
「芹沢さんがお前の歓迎会をするって言うんだよ。歓迎会って言うよりも宴に近いだろうけどな。とすると、お前……芹沢さんにいつ会った?」
「いつ、といいますと、つい先ほど屯所の庭を掃除をしているときですね。」
「前川邸のほうか?」
「はい。そうなりますね。」