きっと、ここの人達に影響されたんだ。
平助が優しくて。
平助がいつも笑ってくれて。
私は揺れたんだ。
平助の・・・純粋な笑顔に。
*
昼下がり。
私は屯所の庭を掃除していた。
屯所といっても、芹沢鴨などの水戸派が住む、もうひとつの屯所のほうだ。
何もすることがなかったので、とりあえず隣の屯所の方へ来て掃除をしていた。
────ドンッ
誰かにぶつかってしまった。
私は慌てて頭を下げる。
「すみません。お怪我はありませんか。」
「お主……見ない顔だな。新入りか?」
顔を上げると、そこには鉄扇を持った男がいた。
鉄扇……といえば、芹沢鴨しか思いつかない。
新入りか?と聞かれるということは、土方達は芹沢一派【水戸派】の者達に私のことを話していないのだろうか?