きっと、ここの人達に影響されたんだ。


平助が優しくて。


平助がいつも笑ってくれて。


私は揺れたんだ。


平助の・・・純粋な笑顔に。










昼下がり。


私は屯所の庭を掃除していた。


屯所といっても、芹沢鴨などの水戸派が住む、もうひとつの屯所のほうだ。


何もすることがなかったので、とりあえず隣の屯所の方へ来て掃除をしていた。


────ドンッ


誰かにぶつかってしまった。


私は慌てて頭を下げる。


「すみません。お怪我はありませんか。」


「お主……見ない顔だな。新入りか?」


顔を上げると、そこには鉄扇を持った男がいた。


鉄扇……といえば、芹沢鴨しか思いつかない。


新入りか?と聞かれるということは、土方達は芹沢一派【水戸派】の者達に私のことを話していないのだろうか?