仲間という名の雫



……………打ち解ける?


何を言っているの。


「親しくしても、いいことなんて何もありません。」


「どうして君はそう思うのかな?いつもそうだけど、君は何にも無関心すぎる。もう少し自分を大事にしなよ。女の子でしょ?」


「……………確かにそうですけど、自分を大事にしろと言われても私にはわかりません。私はそういう生活をしてきたんです。今さら自分を大事に、なんて、無理に決まってるじゃないですか。」


私を拷問したのは一体誰だった?


そうだ、沖田は一度も蔵に来ていない。


一度も、私に拷問をしていない。


だから知らないんだ。


私がどんな拷問を受けたのかを。


「……君さ、僕等のことを一度も呼んだことないよね。それって、僕らの名前を呼びたくないってこと?」


「………そういうわけじゃありません。」


「じゃぁなんなのかな?」


「…………」


私は黙った。


確かに私は一度も沖田や平助のことを呼んだことがない。


名前を、呼べなかったのだ。


名前を呼べば、嫌でも仲良くなってしまいそうで。


嫌でも信じてしまいそうで。


私は彼等の名前を呼べなかった。