仲間という名の雫



「…………わかった。」


土方は部屋を出て行った。


ようやく、1人になれた。あの日から、ずっと誰かの視線を感じてしょうがなかった。


今でこそも視線は感じるが、この際気にしないことにする。


私は視線には慣れているから。


「…………どうせ、皆裏切るんだから。」


口から溢れ出た一言。


誰かに聞かれてもいい………いや、よくないけど。


今まで溜め込みすぎたようで、ボロっとでてしまったようだ。


「………寝よう。」


襖から布団を出して敷いていく。


文机と棚しかないこの部屋にポツンとある布団は寂しいものである。


何しろこの時代は不便でしょうがない。


トイレ(厠というらしい)は不清潔だし、洗濯は全て手洗いだし。


おかげて綺麗だった私の手は少しずつ荒れてきている。


最早そんなことはどうでもよくなってきている。


綺麗にする必要がどこにある?と。


もうテレビに出ることもない。雑誌に掲載されることもない。


自分を着飾る必要なんて、どこにもない。