これで、元通り。
何も変わりない。
変わったことといえば、私の声がでるようになったこと。
それ以外に、なにもない。
この人達にとって、私は邪魔者以外何者でもない。
「…………」
幹部は続々と部屋からでて行く。
その中で、土方だけは戻ろうとしなかった。
まだなにかあるのだろうか?
「帰りたいか?」
「え?」
「女中という形ではあるが、お前をここに押しとどめている。家族に会えず、寂しいか?」
私は首を振る。
「………いいえ 」
「何故だ?」
「私に家族はいませんから。」
"ここ"には、いない。
"むこう"にも、いない。
「家族がいない?」
「はい、私は独りですから。」
家族と呼べる家族など、一人もいない。
友人といっても、1人しかいない。