ひらひらと落ちる花びら。
舞い散る桜の木を、私は眺めていた。
1つ、瞬きをする。
すると、今の桜の景色は幻想だと思い知る。
桜の木は、葉桜に。
花びらは、葉っぱに。
気づかぬうちに、幻を見ていたようだ。
この時代にきて、まだ1ヶ月もたっていない。
どうして自分がこの時代に来たのかもわからないまま、ただ時間だけが過ぎた。
与えられた仕事はごく単調なもの。
食事の支度と、洗濯。
そもそも、私がここで働く理由などはないのではないだろうか。
ここを出てもいいだろうし、そもそもの話、私は半ば無理やりここに連れてこられたようなもの。
そしてここに住むように言われたということ。
明らかに、一方的。
与えられた部屋には、スクールバッグとあの時拾った刀が置いてある。
刀は、この時代で生きていくのに必要だ。
あの声と、この刀・・・・・どうして私がこの時代に来たのか、まだ、なにもわからない。
「おーい!葵!町行こうぜー!」
廊下から走ってきたのは、平助だった。



