仮面を被り、ドラマ出演。バラエティ番組へ出演するのも、いつものこと。


本心なんて見せちゃいけない。


自分を作らなきゃいけない。


そんな毎日は、ストレスにしかならない。


「葵!この後新しいドラマの撮影だからね!はいこれ台本!すぐ覚えて!」


「はい。わかりました。」


私は笑顔で台本を受け取る。


こうした撮影の直前で台本を貰うのも、いつものこと。


すぐ覚えればいいだけの話。


私にはお金が必要。


借金を返すための、お金が───。



ーーーーーー
撮影場所
ーーーーーー


今回のドラマは《新撰組》。


江戸時代末期に京都守護職として活動していた軍事組織。


新撰組の名を貰う前、彼等は《壬生浪士組》という名前だったという。


当時の局長は“近藤 勇”と“芹沢 鴨”
という人物。


私はその、芹沢とかいう人の妻、“梅”役だ。


芹沢は新撰組になる前に副長の土方ら近藤派に暗殺される。


当然、一緒いた梅も殺される。


だから出番は割と少ない。