仲間という名の雫



「……土方さん。この子、声がでないみたいなんですよ。」


沖田総司が、土方に説明をする。


「そうか……それじゃぁ、名前しかわからねぇが、仕方ねぇか。」


土方が沖田に合図をした。


「この子の名前は向日葵。」


そう、それだけ。


何故って、名前しかあちらが知っている私の情報はない。


「こいつの処遇は後日決める。総司。こいつを部屋につれてけ。」


「わかりましたよ。君、ついてきて。」


私は沖田についていった。





広間をでたあとは、そのまま部屋に戻った。


部屋に戻ると、沖田はすぐでていってしまった。


私はこれからどうすればいいのかもわからないため、ただひたすら待つしかなかった。


それから数時間後、再び襖が開いた。


「何回もごめんね。また広間に来てくれる?」


私は頷いて立ち上がった。


おおよそ、私の処遇についてのことだろう。


そもそも、名前と顔しか知らない幹部なる人達。私は声がでないため、質問もできない。今、ここにいることじたいが不思議だということを、話すこともできない。


未来からきたかもしれないということも。





先ほどと同じく、広間にはいると幹部が連なって座っていた。



私は指定された位置に座る。


「お前の処遇についてだが……」


土方は数秒置いて、また口を開く。


「ここの女中として働いてもらう。」


……………女中?


今でいうメイドみたいなものだろうか。