───「失礼します。」
広間とやらに着くと、そこには数人の男がいた。
いや、壬生浪士組は男しかいないのだから別に不思議はないか。
「君、そこに座って。」
青年が私に言った。
私は頷き、座布団が敷いてある場所、指定された場所に座った。
「えーコホン。ではまず、自己紹介といこう。俺は近藤勇。ここ壬生浪士組の局長をしている。」
「副長の土方だ。」
「土方さーん。俺らも?」
「当たり前だろ。」
先ほどから着々と進められている自己紹介。
私はさほど興味はないため、ほとんどを聞き流す。
「俺藤堂平助!」
背が低く、年が近そうな少年。
「平助って呼んでくれていいからな!」
じゃぁ、勝手に平助と呼ばせてもらおう。
「俺は永倉新八だ。よろしくな。」
「原田左之助だ。これからよろしくたのむぜ。」
「……斎藤一だ。」
「僕は沖田総司。」
あの青年は、沖田総司という名前らしい。
沖田総司といえば、あの悲劇の天才剣士として有名な人物。
「……っとこれで全員か。それじゃぁ、次お前だ。」
副長の土方が私に言ってきた。
自己紹介しろって言ったって無理に決まっている。
なにしろ、声がでないのだから。