「………もしかして声、でない?」


私は素直に頷く。


こればっかりは嘘はつけない。


欺くことなんてできない。


「…………そう。」


青年は少し悲しげな表情を見せた。


「………ごめんね。こんなことして。」


今さら、何を言っているのか。


「君、女の子だったんでしょ?」


それは、そうだ。


制服のボタンが開いていたから気づいたのだろうか。


それにしても、ころころと態度を変える奴らだ。


“女の子”だから。


だったら、私が女だと気づいていなかったらあのまま拷問を続けていたということだ。


私は、こういう扱いは嫌いだ。


「広間に来てくれるかな?」


青年は私に言った。


服は……と思ったとき、私は今自分が着ている服が制服ではないことに気がついた。


着物ではない、つまり、袴というもののようだった。


「ついてきて。」


私は部屋を出て、青年についていった。