────「おい。あの浪士は吐いたか?」
あれから数日。
土方はあの日捕まえた浪士に再度拷問をかけていた。
浪士が言っていることが正しいのかどうか、確認することにしたのだ。
「それなんですけど、なんかあっさり吐きましたよ。捕まった腹いせ、らしいですけど。」
単純ですね、と沖田は肩をすくめて笑った。
なんともくだらない理由であろうか。
しかし、そのくだらない理由でついた嘘で自分たちは彼女を拷問したのだ。
「そうか……下がっていいぞ。」
土方は沖田が出て行った襖を、しばらく見つめていた。
彼女はあれから目覚めていない。
それは無理もないことであるが。
目覚めたらまず、謝ろうと土方は決めていた。
近藤のためにとおもいしてきたというのに、こんなことになるとは。
「俺は……どうすりゃいいんだ?」
そんな土方の問いは、誰にも聞かれることはなかった───。
☆notside and☆