「どういうことも、こういうことも、言葉のとおりですよ。」
「はぁ………?」
土方は沖田が抱えている少年の喉元を見て愕然とした。
喉仏が、ないのだ。
蔵の中はしばらく冷たい空気で覆われた。
「………山崎!」
土方がそう叫ぶと、蔵の中に1人の忍装服の男が入ってきた。
観察方の、山崎丞という者。
医学の知識も心得でいるという。
「………こいつの手当てをしてやってくれ。」
「わかりました。」
山崎は向日葵を抱えて蔵から出て行った。
「僕、部屋に戻ってますね。」
沖田が先に蔵をでた。
土方はしばらくその場に立ち尽くしたままだった。
自分たちは、女に手を上げていたのかと。
対した事情も聞かずに、拷問にかけていたのかと。
後悔しか残らなかった。
彼女は自分たちを許してくれるのか。
そのことだけか、頭の中に残った───。



