沖田はこの少年を屯所に連れ帰った。
少々話をするだけだ。
たいしたことではない。
尋問でわかったこと。
少年の名前は向日葵ということ。
異人のような格好は少年にとっては普通だということ。
それだけだ。
少年は蔵に入れられた。
ただ、沖田はひとつ引っ掛かっていることがあった。
向日葵が女に見える、ということ───。
性別を確認したわけではない。
だが、体の線が柔らかく、声も高い。
おかしいといえばおかしいことだというのに、誰一人として疑うものはいない。
───あれから一週間がたった。
拷問は今も続いている。
自分の番はもうすぐだ。
沖田は、この拷問で向日葵が女なのかどうかを確認するつもりでいた。
もし女だというなら、自分達がしてきたことは許されることではない。
だからこそ、早急に確かめなければならないことであった。
「───お、総司。はえぇじゃねぇか。」
蔵の前で木刀を手に立っていたのは、つい先ほどまで拷問をしていた“永倉新八”だった。



