仲間という名の雫



☆notside☆


見慣れた京の町。


いつものように市中を見回る。


いやでも目立つこの浅葱色の羽織りのせいで、自分たち壬生浪士組はもう京では有名だ。


「またケンカやわぁ…もうやめておくれなぁ…」


どこかでケンカがおきたらしい。


こういうのを取り締まるのも自分たちの仕事だ。


沖田は少々面倒くさそうな顔をして現場に、むかった。


現場につくとそこには不思議な格好をした少年と、倒れている浪士がいた。


浪士のほうは、恐らく長州の者。


ならば、異質な格好をした少年は何者なのだろうか。


ひとまず、ここをおさめ屯所へと連れ帰るのが得策だろう。


「君、そこでなにしてるの?」


沖田は少年に声をかけた。


なにをしているかなど聞かなくてもわかることだが、一応確認のためだ。


「……なにかようですか。」


少年は質問には答えず、逆に質問してきた。


そこで沖田は、本題をぶつける。


「この浪士を倒したの、君?」


「…そうですけど、なにか。」


少年は肯定した。


普通の町人ならば、浪士相手に立ち向かうなどない。


見てみぬふりが大抵のことである。


「ちょっと僕らと一緒に来てくれない?」


「ご遠慮します。」


「君に拒否権はないよ。」