「…………………」


あれから一体何分歩いたのだろうか。


神社をでて、一体どれほどたったのか。


ケータイを起動してみると、電波はきていないが、時間の確認はできた。


私が学校をでてから、およそ二時間たっていた。


こんなに時間がたっていたのに、何故私は気がつかなかったのだろうか。


普段ハードな分刻みのスケジュールをこなす私が、時間感覚がわからなくなるだなんて。


…………失態だ。


「あれ………町……?」


森を抜けると、とある町が広がっていた。


しかし、その町並みは普通ではなかった。


「なにこれ……映画のセット?」


まるで、時代劇のような町並みに私は驚きを隠せなかった。


刀を腰に差して歩き、袴をはき、着物を身につけて歩くその姿は、まるで江戸時代のようだった。


『刀』というのが、決定的だろう。


このことから、考えられるのはただ一つ。


─────『タイムスリップ』


極めて非現実的だ。


こんなことを考える自分はどうかしてるのかと疑いたくもなるが、どうやら認めるしかなさそうだ。


「皆、着物なのね。」


そう、皆着物を着ている。


つまり、今の私の格好は異常なのだ。