イチゴ味のマンハッタンドーナツとポップコーン、それとLサイズのアイスティーを手にして座席に戻ると。


「あっ……」


開演15分前になっているステージの手前で、クラウン2人がショーの前座とも言えるパフォーマンスを披露していた。

巴香が座る筈の席が空席な為、そこに買って来た物を素早く置いて、私の視線は既にクラウン2人に釘付けになっていた。


白く塗られたフェイスに観客に訴えかけるような悲しいメイク。

そして、でっぷりと突き出したお腹にド派手な色彩の衣装。

極めつけは、外国人さんだから似合うブロンドのヘアー。

メイクや鬘だと解っていても、本当にそういう人なんだと思わせてしまうほど似合っている。


そんなクラウンのうちの1人が、徐にテントの天井から吊るされたロープをスイスイと登り始めた。

すると、もう1人のクラウンが観客に向けて不敵な笑みを浮かべながら、そのロープを勢いよくブンブンと回し始めた。


「あぁっ………」


私と同様に、どこからともなく漏れ出す声。

勢いよく回すクラウンと必死にロープを掴むクラウンに、観客の視線は釘づけ。

私は振り落とされやしないか、ハラハラしながら見守っていると、


「オモシロクナイネェ~!」


ロープを振り回していたクラウンが観客席に訴えるようにカタコトの日本語で語りかける。

すると……。