【完】3ポイント・ホームラン!~夏空の下、貴方に伝えたい~



「お前、気づいたの?」

「うん。さっきね」


「やーべー。恥ずかしいや」


いつも彼女が出来たら自慢してた奏が、真っ赤になって髪を掻いている。

なんだか、それだけでも、違和感があるというか、不思議な気分だ。



奏と目が会った瞬間、とてつもなくピリリとした甘酸っぱい気持ちが胸を支配した。


まるでまだ片思いしているような、気持ち。

あんなに真っ赤になっているのは、本当に私への気持ちなのだろうか。

嬉しい。でも何だか怖い。

ずっと背中を見ていたと思った奏が、こうして振り返って私だけを見ているんだもん。



「着いた。着いた」


子どもの時は遠く感じた幼稚園への道。

でも私たちには、ほんの十数分。
下手したら、コンビニに行くよりも近いかもしれない、距離。

ゆっくりと小さな足幅で此処まで歩いて来たんだ。



幼稚園は、壁際に工事の道具や機材が置かれ、園舎の周りの花壇などは取り払われていた。


子ども達の、――奏と太一の笑い声が聞こえてきそうな、懐かしさを閉じ込めた空間に、ノスタルジックな不思議な気分が生まれてくる。